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写真と体温   [写真 Photograph]

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撮影したい場所にいくと、まずは座る。
ベンチよりも地面のほうがいい。
その温もりや冷たさを感じ、その土地から沸き上がるものを皮膚で知る。
夏にビーサンにこだわる理由もそこにある。
裸足になればその下には大地がある。
フラ・カヒコも、バリの舞踊も、古代日本の祈りも裸足。
30分でも、10分でも、何もしないことが大切。
風の向き、光の強さ、雲の流れをあらためて感じたとき、カメラを持つ。

ある大学総長の家を訪ねたとき、取材後に写真好きの奥さんにいろいろなことを聞かれた。
写真や芸術に対しての批判はしない。
上手かと聞かれれば、上手なところが画面から浮かんでくる。
総長には友人が撮った写真をいろいろと見せられ、その人の人物像を当てさせらた。
あたっていて驚かれたことを覚えている。

写真家は巧妙に自分を隠すことが上手い。
大切なことを伝えるために、そっと存在を隠す。
これがプロの技術。
ゆっくりと、じわじわと、観る人の心を解きほぐし、染みていく。
写真は、観る人の体温を感じたとき、その想いに応える。

そんな写真を撮りたい。





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