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ふたたび奉納カメラマン   [旅  Travele]

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「諏訪湖完全凍結」
ニュースでその映像を見た瞬間「行こう!」と閃いた。

その前週にも長野で撮影があったが諏訪湖にはよれず、高速道路を走る車の後部座席から雪化粧をした夕暮れの湖を「撮りたいな」と思いながら眺めていた。

現在修理中のために手元には代車。
その車には運良くスタッドレスタイヤが付いている。
ネットで地図を検索したら、1月に何度も行った鎌倉と葉山、毎年厄よけに通う寒川神社と、諏訪大社は直線上にあることも発見。レイラインかもしれない。
これは「行け!」ということだと直感カメラマンは納得。

『レイライン(ley line)は、古代の遺跡には直線的に並ぶよう建造されたものがあるという仮説』というのがウイキペディアの説明。
歴史マニアにとって日本で有名なのは「御来光の道」とか呼ばれる北緯35度22〜26分上にある神社やパワースポット。春分秋分の日に太陽はこの道を通る。
千葉の玉前神社からあがった太陽は、神奈川の寒川神社、富士山頂、山梨の七面山、伊吹山、竹生島、丹後の元伊勢などを通り出雲大社から海へと沈む。
ちなみに夏至の日の太陽は三重の伊勢から昇り、京都上空を通過し、丹後の元伊勢に沈む。
このようなラインが日本にもたくさんある。
そしてそのラインの1本である「太陽の道」を発見したのが奈良に住む写真家の小川さん。
紀伊半島の太陽信仰を現すラインで、北緯34度32分上に存在する古代からのメッセージ。
後にNHKで特別番組が作られ当時話題になった。
学生時代には写真を選ぶか、考古学に進むか、さんざん迷った僕は繰返しこの番組を見て本を読みあさった。

2月1日の諏訪湖は雪が舞っていた。
対岸の山は白の世界に溶け込みまったく見えない。
カメラもフィルムもメモリーカードもたくさんあるのにシャッターが押せない。
とりあえず諏訪大社にお参りしてからその日の行動を考えることにした。
大社は4箇所の神社を持つ。
上社の本宮と前宮。
下社の春宮と秋宮。
何も考えず行ったのが下社の秋宮。
平日なのに、雪が降っているのに、広い駐車場が満杯。
どうしたことだろうと思っていると白い装束に身を包んだ人や、色鮮やかな服を着た神主さんが雪の中を歩いてきた。
祀りが始まる!
奉納カメラマン復活。

巫女さんを見つけ、今日の儀式の説明を聞く。
遷座祭の神事とのこと。
素朴な笑顔がまたいい。
降る雪に赤の袴も、寄せ付けない神様の空間に人の温もりを感じるようでもありほっとする。

この日、神様は秋宮から春宮へと引っ越しをする。
一部始終を見る幸運に恵まれ、神様と神主さん達の行列を春宮まで追いかけることにした。
秋宮で始まった雪まじりの厳かな儀式は、宮を春に移すと、その神事の最後には空を青く輝かせた。
午後3時、引っ越し完了と共に快晴の空。
一足早い春が来た。

急いで湖に引き返すと夕方6時まで撮り続けた。
そのほとんどはフィルムカメラ。
久し振りに撮影済みのフィルムを積み上げた。
出版社の写真部にいたとき、今は亡き部長に「馬の餌ほどフィルムを使うな。経費を考えろ」と言われたことを思い出す。
部長のことを思い出すためにはたまには大量にフィルムを使わないといけない。

諏訪湖は意外に東京から近い。
またすぐに行きたくなった。
箱根、鎌倉、そして諏訪。
近いが深い。
そしてどこか懐かしい。





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